思ったことが
簡単に現実になった話
小学3年生の頃の私は、人前でもあまり気にせず、明るく元気にはしゃぐような子供でした。クラス内でも、大きな声で話したり、駆け回ったり、とにかく目立つのが大好きでした。
ある日、学年全体の遠足がありました。
電車に乗って、大きな公園へ行きました。とても楽しくて、時間を忘れるほどの公園の広さ。美味しいお弁当も食べて、帰りの時間まであっという間でした。
しかし、帰りの駅に向かっている最中。列から外れてしまった私は、前にいた同級生を見失ってしまいました。数分、キョロキョロみんなを探していると、駅のホームから電車の中に入っていく友達の姿を見つけました。
「置いていかれる!」という、一人だけ残される恐怖感と焦りで、頑張って走って行きました。が、私だけが乗れず、電車は発車してしまいました。
すると、電車の中にいる同級生たちが私に気づき、、、
みんな、バカにするように手を振っていました
置いて行かれた気分でした。
思わず泣いてしまった私に、近くにいたおばあちゃんが「次も電車来るから大丈夫だよ!」と言って、一緒に乗ってくれたのです。次の駅に着くと、担任の先生が心配した様子で駆けつけてくれました。
無事に学校に着くと、私は学年全体の笑いものでした。
その「笑われている」という感覚は「バカにされている」という感覚と同じものだったのです。それがきっかけで、クラス内で大きな声でしゃぐことも喋ることもなくなってしまいました。
もしかすると、「たったそんなことで?」とあなたは思ったかもしれません。その通りです。ですが、このときの私はそう思うことはできませんでした。
人間がネガティブに反応する理由
「自分は人から笑われる人間だ」
「バカにされる欠陥人間なんだ」
自分自身について、そう思うようになりました。
それがきっかけで、先生が質問を求めたとき、積極的に”手を挙げる”という行動は取らなくなりました。
人前が苦手になりました。
質問に当てられると、即座に自分の中の心の声は「笑われないように答えなくちゃ!」となり、分かる問題のはずが、過度な緊張で、脳がフリーズするようになりました。結局何も答えれず、「あんな問題も分からないの?」というようなヒソヒソ話にも耳が行くようになりました。
私はこのとき、自分自身の潜在意識に、危険なプログラミングをし続けていることに気づいてはいませんでした。
欠陥人間となることが目標達成になっていたのです。
質問を受ける度に過度な緊張と「人から笑われる…」という想像力を発揮し、人前で発表しなければならない授業があれば「この世の終わり」と思ってしまう程でした。
「自分は人から笑われる人間だ」
「バカにされる欠陥人間なんだ」
この「自己説得」を長年続けたことによって自分自身で「欠陥人間」という信念を強化していたことに気づいたのは15年後の24歳でした。
出来上がった信念によって「今田くんはできる人だよ!」と言われても、かたくなに、それを否定し、いかに自分が出来ない人間かを探し出しては、それを証明しようと行動していました。
「自分は出来ない人間だから」と言って勉学に対し本気で取り組むことはありませんでした。
自分の点数がずっと悪いのも「欠陥人間だから」という勝手な自分自身の、そして、立派な正当化によって自分を説得してきました。
集中攻撃された自己説得の偉大なエネルギー
Dr.モルツはこう言いました。
「自分自身を欠陥人間と見るのは、抵抗のできない人間に、棍棒で何度も何度も叩きつけているようなものだ」ということです。
行動心理を学んで分かったことがあります。それは、私が自分自身にやっていた、「潜在意識」を悪い方に育てる方法。これは人間の9割の人がやっている、ということです。それも、長年気づかずに。自分にとっての”真実”というのは、殆どの場合、間違っています。
両親の言葉を信じ続けた女の子
ある女の子の話です。
ピアニストが夢だった女の子が、小学校のころ、「あの子はひどく不器用だから、絶対にピアノは上手くならないよ」なんてことを、両親が話していたのを聞いてしまいました。すると、今まで平常心で弾けていた場所で、多く間違えるようになりました。今までは弾けていたのです。
女の子の脳へのプログラミングは、何年も続きました。
「私は不器用な人間だ」
繰り返し、繰り返し、自分自身を無意識に説得し続けました。
すると、何が起こったでしょうか?彼女は大人になり、結婚しました。手を使う仕事、女の子らしい仕事、つまり、片付けや家事なども「自分は不器用だから」と言って避け続け、ピアノも全く弾かなくなってしまいました。
ある日、彼女にきっかけができました。
ピアノです。友人に勧められて「なんでピアノ辞めちゃったの?すっごい上手かったのに!」と言われました。「そんなはずない、自分は不器用なんだから」と思いつつ、あまりにも勧めてくる友人だったので、思い切って弾いてみることにしました。
すると、思ったよりも弾けたのです。
一体私は、こんな話をして何が言いたのでしょうか?つまり、こういうことです。
人間の脳は、実際の経験と想像上の経験を区別することはできない
ということです。こう言ったのは、Dr.マクスウェル・モルツ。
なぜ、人は落ちこぼれになるのか、なぜ、人は自分自身に催眠をかけているのかを説きました。一度経験した内容を、自分の脳内で「大変なこと」に拡大させ、それをリハーサルし続けているのです。
脳内のリハーサル、それはつまり、潜在意識に悪い情報を何度も何度もプログラミングさせている、ということです。抵抗できない人間に、何度も何度も棍棒で殴り続けているのです。リンチ集団が集まった、最悪な袋叩きです。
脳は冗談とは思わない
人間の脳は、想像したこと、思い出したことを「冗談」とは思いません。そのときの感情が蘇り、もう一度、本当に経験したのと同じことが脳で起こっているのです。
考え続けたことや自分に対して説得し続けてきた言葉の内容が、将来の自分自信に反映されるということを殆どの人は知りません。
私たちは誰もが、このような”思い込み”によって信念を育て上げ、まるでそれが”真実”かのように振る舞ってしまいます。
現代では、脳について解明されていることがたくさんあります。驚くかもしれませんが、今話している内容は、50年以上前からも既に解明はされていたものです。
今では更に証明されているでしょう。
私たちが潜在能力をたった数%しか使うことができない理由の一つは、目標や夢を達成できるということを自分自身が信じていないことが一番大きな原因だと言われています。
潜在意識は自分自身の敵ではありません
潜在意識というのは、考え続けた想像や言葉の習慣によって発揮されるものですが、間違った方法で使うと、上記で説明した私のようになります。
潜在意識という名の脳は、今まで他人から言われたこと、親から言われたこと、先生や教授から言われたこと、友達から言われたこと、自分自身に対する言葉やイメージによって育てられていきます。
こんな話があります。
“どもる子”について研究したウェンデル・ジョンソン博士は、
どもらない子は両親から「今はよく言えなかったね。だけど、今度は大丈夫だよ」と表現されていますが、どもりの子の両親は「うまく話せないね」と断定的な表現をされているのが多い
と言っています。
このような例はいくらでもあります。他人から言われたことを人は信じてしまい、更には自己説得を続けて潜在意識に組み込んでしまうのです。
潜在意識を味方にし、目標達成する方法
私たちは他人や両親、先生、友人などの言葉を何の疑いもせずに信じてきました。しかし、覚えていて欲しいのは、彼らから言われたのは悪意ではなくあなたのために言ってきたということが殆どです。
潜在意識の知識がなかったにすぎないのです。でも、心配する必要はありません。潜在意識の内容は書き換えることができることが証明されています。その方法とは至って簡単です。
今まで自分が自分に対して説得してきたことと逆のことを説得すればいいのです。「自分はできる人間である」と言い聞かせます。もしかすると、心の中で批判の声が「え?」などと出てくるかもしれません。
しかし、繰り返し行うことによって人は信じるようになるのです。「思考は現実化する」の著者のナポレオン・ヒルはこう言っています。
「ウソも繰り返しの洗礼にあうと、自分でも本当のことのように思えてくる」
もちろん、無意識になるまでは少し時間が掛かりますが、今まで育んできた自分自身へのイメージ(セルフイメージ)も長年に渡って作られたものです。
潜在意識に何度も何度も繰り返しのパワーを与えるのです。これを毎日続けると凄いことが起きます。「達成できないものは何もない」と思えてきます。
「自分はできる人間だ」
と何度も言い聞かせるのです。そして、さらに潜在意識を加速させるには、今まで上手くいったときのことや自分が本当に目標達成している姿を思い描くことです。
偉人たちもこう言っています。
ジェームズ・アレン
「自分が考えたものになる」
アール・ナイチンゲール
「人間は自分が考えたような人間になる」
ナポレオン・ボナパルト
「人間はイマジネーション(想像力)によって自分を収める」
目標達成だけに関わらず、潜在意識というのはどれだけ人生に重要なものであるかというのは、言うまでもありません。しかし、もっと自分の欲しいもののために、自分が作り上げたいものを達成するために潜在意識をもっと使いこなすことができれば、あなたの人生は間違いなくいい方向へ進んで行きます。
P.S.
もちろん、私のような、大した成功もしていない人が言えることではないかもしれません。ですが、「才能がないから」と言って、行動しない理由を何個も探す代わりに、どうすれば上手くいくのか?を考えてみてはどうでしょうか?
今田